うちにきた猫が三毛猫なのにオスっぽい
最近ウチのミーが帰ってこないんです(ノД`)・゜・。
さみしーってボヤいてたら昨日どこかの猫がひょっこりと現れました。ノラっぽくない可愛らしい顔をしているなーと思ったら、低い声で警戒しながらも触らせてくれました。よくよく見ると三毛猫で、何?去勢されてるのかな(゚д゚)!?
三毛猫のオスってとっても珍しいっていいますよねー
まさかねーΣ(・ω・ノ)ノ!
今日はこの本「エピジェネティク」で解説
というわけで、三毛猫のことについて手持ちの本に書いてあったので、その本を使って紹介したいと思います。タイトルは「エピジェネティクス」
エピジェネティクスをご存じですか?独立してねぎを育て始める前に、牛の勉強としてお世話になった九州大学の後藤先生のQビーフでエピジェネティクスについて知りました。理解しにくいけどとっても面白い分野です。そしてこのエピジェネティクスとは何か、その基礎的なことがわかるようにと書かれたのがこの本なんです。本文からこの本がどういう内容なのかを説明しているところを引用しますね。
「エピジェネティクスな特性とは、DNAの塩基配列の変化を伴わずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である。」などど、いきなり言われても、専門としないほとんどの人には何のことかわからないだろう。しかし、エピジェネティクスは、我々の体の発生や成り立ちといった生命現象の根源的な現象に深く関与している。(中略)誰か、これさえ読めばエピジェネティクスの面白さがわかると同時に基礎的なことをすべて理解できる、というような本を(中略)、と一念発起して書き上げたのがこの本である。
引用元:岩波新書「エピジェネティクスー新しい生命増をえがく」中野徹 はじめに より抜粋
この本を紹介する素敵なHONZの書評
HONZの書評 『エピジェネティクス』見た目や性質は、氏か育ちか、だけじゃない?
もご覧ください。さわりを少し引用。
エピジェネティクス――この耳慣れない言葉に、「私には関係ないもんね~」とスルーしかけている、そこのあなた! じつは「関係大アリ」、かもしれないのだ。
もし、あなたが罹るかもしれない、がんや糖尿病、心筋梗塞などの病気とその治療に、このエピジェネティクスが関わっているとしたら? あなたの子どもが将来受けうるストレスに対する抵抗力にも、その影響があるとしたら?
いま、生命科学の研究で注目され、著しく進展しつつある分野が、このエピジェネティクスなのである。
生物の特性は、DNAのもつ遺伝情報によって受け継がれる。では、体細胞核移植で三毛猫のクローンをつくったら、どうなるか? もちろん、同じ模様のネコがもう1匹できる。と、思ってしまいそうだが、なんと答えはノー。斑入りのアサガオから模様のない白いアサガオを生み出しても、代を重ねれば再び斑入りのアサガオが現れる。なぜこのようなことが起きるのか? これこそが、エピジェネティクスの成せるわざ、なのである。
本書は、「氏か育ちか」だけでは説明できない、生命の不思議への新しい扉を次々と開いてくれる。(以下続く)
引用元:HONZ 『エピジェネティクス』見た目や性質は、氏か育ちか、だけじゃない? 塩田 春香
三毛猫について
それでは本題、三毛猫について。
まずは三毛猫が生物学的にどのような遺伝子の働きによって三毛猫の3色が表れるのかについて引用します。
「三毛猫の誕生」
猫の毛先に関係する遺伝子はいくつも知られているが、三毛猫の誕生を説明するためには、常染色体上にある白斑をつくる遺伝子と、X染色体上にあるオレンジ遺伝子がわかればいい。白斑をつくる遺伝子にくわえて、二本あるX染色体のうち、片方が茶色を発現する遺伝子(O)、もう片方が茶色を発現しない遺伝子(o)を持っている雌猫が三毛猫なのである。
このようなネコでは、白色以外の場所の色がオレンジ遺伝子によって決定される。オレンジ遺伝子はX染色体上の遺伝子であるため、二本のX染色体にOとoが存在していても、X染色体の不活性化によって、ある細胞ではOかoのどちらかしか機能しない。Oの場合は茶色に、oの場合には茶色ではなくバックグラウンドとしての黒色になる。したがって、シロ、茶色、黒色の三色になるのである。
引用元:岩波新書「エピジェネティクスー新しい生命増をえがく」中野徹 p.174より抜粋
中学や高校で学んだメンデルの法則的な掛け合わせでどんな遺伝があらわれて三毛猫となるかということですね。
では三毛猫の雄とは?
以上のようにX染色体と常染色体上の遺伝子の働きで三毛猫の色が決まるので、基本的に三毛猫は雌ばかりということになるんですね。では、三毛猫の雄が生まれるのはどうしてでしょうか?
きわめて稀に、雄でも三毛猫が生まれることがある。染色体に異常があって、XXYと性染色体を三本持っている場合だ。このような場合でも、二本あるX染色体のうち一体が不活性化されるので、三毛猫が生まれるのである。
引用元:岩波新書「エピジェネティクスー新しい生命増をえがく」中野徹 p.174より抜粋
三毛猫とエピジェネティクスの関係、そのことまで触れて本日のブログを終わりたいと思います。
三毛猫の体細胞核移植クローンを作成したら、元と同じ模様の三毛猫ができるだろうか?答えはノーである。核移植によって同一のゲノムを受け継いだとしても、X染色体の不活性化は受精した後にランダムに起こるものである。だから、三毛猫の模様は決して同じにはならないのだ。
引用元:岩波新書「エピジェネティクスー新しい生命増をえがく」中野徹 p.175-176より抜粋
このX染色体の不活性を引き起こすのがエピジェネティクスなんです。
まとめ
三毛猫の雄がなんで珍しい存在なのか?を今日のブログに取り上げようと思ってインターネットや手持ちの本を調べてみましたが、なかなかわかりにくくなってしまいましたね。
三毛の猫ちゃんは今日も遊びに来てました。あいかわらず最初は低い声で警戒してましたけど、じっとおとなしく顔を見てると甘えてきていました。どうも近所の猫のようです。
猫がいると可愛らしくて癒されますね(*’ω’*)
参考文献・リンク:
・日本獣医学会 Q&A 三毛猫の雄について
https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20141020.html
・三毛猫のお話 〜クラインフェルター症候群〜 http://blog.livedoor.jp/mirco_vet/archives/39556696.html
・第4回 貴重なオスとありふれたメス https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/michi/sanpo4