肥料の知識をアップデート
昨日は肥料の勉強会へ参加してきました。
肥料に対して考え方がアップデートされた気がしています。
「NPKがそれぞれ「葉肥え」「花肥え」「根肥え」と言われているのは100年前の知識」
という言葉が印象的な講演でした。
カリウムが大事だよ!
ということが記憶に強く残っているのですが、
カリウムなんて根っこに効く成分くらいしか知識がなかったので、
さっそく手持ちの本のカリウムに関する部分を見直したヒロアキでした。
読み直すと、カリウムは根に効くだけではないということがちゃんと書いてあるじゃん!
とおどろきました。
というわけで、今日のブログではカリウムについてあらためて知ったことをまとめてみようと思います。
カリは根っこに効くだけではなかった!
いわゆる植物の3大栄養素と言われている成分のひとつであるカリウム。
カリウムは運び屋という機能を受け持っているそうですよ。
肥料の本によると、次のような役割を植物の中で働いています。引用します。
多量要素と植物体内での役割
カリウム:光合成や炭水化物の移動蓄積に関与。硝酸の吸収、タンパク質合成に働く。開花結実の促進、根や葉を強くする。
引用元:誠文堂新光社 一般財団法人日本土壌協会監修 「土・肥料のきほん」
これだけでは言葉足らずになるので、
カリウムの機能を説明した文章を、また別の本から抜粋して引用しますね。
カリウム
カリウムは不可解な元素である。カリウムは植物体内で窒素の次に多い元素であるが、この元素については、現在でも多くのことがわかっていない。その理由は、窒素と異なり、カリウムは植物体内の分子のどこにも組み込まれていないことに起因する。窒素は植物のタンパク質や糖類、そのほかの生体を構成する物質を分析することによって、窒素の役割がどのようなものかがわかる。しかしカリウムは、植物体ではもっぱら溶解した形で見出される。カリウムは少なくとも60の酵素反応で重要な役割を果たしているとされる。しかしその役割がどのようなものなのかは、正確にはまだわかっていない。もしその役割を理解しようとするなら、代謝そのものに立ち入らなければならないが、それは事実上不可能である。そのようなことから、多くの疑問に答えられないでいるのが現状である。
今のところ、カリウムの植物体内での役割はおもに二つあることがわかっている。一つめはあらゆる種類の酵素の働きを助ける補助因子としての役目である。【→植物体内のほとんどの反応は、酵素の働きにより行われている。酵素は、アミノ酸が長く連なった複雑な分子(タンパク質)であり、酵素としての機能を果たすには適切な立体構造として折りたたまれているときにだけ結合できる。カリウムは補助因子としてかかわり、酵素が適切に折りたたまれるようにしている。カリウムは、一時的に酵素と結びつき、その後適切な位置に落ち着く。その後たとえばタンパク質の形成などの反応が起きる。カリウムはその後離れ、再びどこかほかのところで利用される。】
二つめは、窒素の移動に必要で、細胞の防圧を維持していることである。【→カリウムは、孔辺細胞以外の浸透圧調節物質としても機能する。さらに、糖とミネラルの移動のために重要である。光合成活性の高い葉で生産された糖は、葉にそのまま貯蔵されるか、ほかの場所で利用される。別の場所で使用される場合、植物の輸送システムである師部を経由する。師部では糖を次々に送り出す必要があり、それをカリウムが手助けしている。カリウムは窒素の輸送にも欠かせない。窒素の多くは硝酸態窒素として吸収されるが、硝酸態窒素はマイナスイオンのアニオンである。もし植物が根から葉にマイナスイオンのみを送ると、植物は電気的に不均衡になってしまう。そのため、中和するためのプラスイオンが一緒に送られる必要がある。これがカリウムである。
カリウムは多くの代謝プロセスに関連しているため、”品質のための元素”とも呼ばれている。【→カリウムを適切に供給することは、生産物を魅力的にする効果を持つ。すなわち、生産物の味や栄養価、日持ち、輸送性などを向上させる。結局のところ、理想的な光合成や最適な同化産物の輸送は高い品質や日持ちの良さにつながる。】
引用元:農文協 「環境制御のための植物生理」
葉野菜ではどうか?
クレソンや小ねぎが中心な七花ファームでは、
カリウムについてどうとらえるべきでしょうか?
ホウレンソウを例に、カリウムが葉野菜で力を働かせるのか見てみたいと思います。
ホウレンソウの栽培書から引用します。
ホウレンソウの葉の成長に対しては窒素が最も必要な要素で、窒素不足は無肥料に近い結果となる。ついでカリが必要な要素で、カリは窒素の効果を確実にする。
またホウレンソウの時期別養分含有量につき調査された結果も、カリ・窒素・マグネシウムが多く含有されており、古山ら(1996)が、6-10月播きホウレンソウの養分吸収量を調査した結果、各播種期ともカリの吸収量が多く、次いで窒素・マグネシウム・リン酸・カルシウムの順になり、カリと窒素肥料の効果の重要性を示唆している。
引用元:株式会社いしずえ発行 香川彰著 「高品質ホウレンソウの栽培生理」
上記のカリウムの機能を説明した文書にあった通り、
窒素の移動に必要な元素だということがわかります。
勉強会でも、
植物を工場と例えると窒素は原料であり、
カリウムは原料の窒素や製品の糖を運ぶトラックと例えられていました。
まとめ
肥料勉強会の復習を兼ねて、ブログに手持ちの本からカリウムの機能について解説してあるところをまとめてみました。
勉強会で学んだ通り、
カリウムが根っこに効く「根肥え」という働きという理解は古い知識であり、
●カリウムは少なくとも60の酵素反応で重要な役割を果たしていること
●あらゆる種類の酵素の働きを助ける補助因子としての役目をもつこと
●窒素の移動に必要で、細胞の防圧を維持していること
●多くの代謝プロセスに関連しているため、”品質のための元素”とも呼ばれていること
以上のような役割を植物の中で果たしていることを知りました。
クレソンやネギの栽培にも役立てたいなーと思いました。