植物が凍りにくくなるしくみ

冬がやってきた

今シーズン最強寒波の前評判通り、

冷え込んだ朝となった熊本でした。

霜は一面びっしりと降りていて、

タマネギの苗は寒そうな中でもじっと耐えていました。

クレソン畑では一部水が凍り付いて、

凍った水面を小鳥が我が物顔で歩いていました。

冬が来たって感じます。

クレソン畑も凍り付く

クレソンは露地栽培なんですよ。

なので、霜が降りるとクレソンの葉っぱも氷が張ってしまいます。

日が昇り、気温が上昇すると何事もなかったかのように復活するので

クレソンの強さに感心するとともに、

どうして葉っぱが凍っても大丈夫なのか不思議に思っていました。

クレソンだけでなく、ホウレンソウも葉っぱが凍り付いてもへっちゃらな植物でした。

こういった植物のチカラのことを耐凍性というそうです。

植物には「凍りにくくなる」しくみがある

 最初に結論を書くと、植物は体内の一部分が凍ってしまうこともあるが、さまざまなしくみによって、細胞の内部が凍ってしまうことを防いでいる。
 
 じつは、氷点下の冬を過ごす植物は、体内の凍結を回避したり、あるいは凍結しても生きられる能力をもっている。これを耐凍性(たいとうせい)という。意外に感じるかもしれないが、耐凍性をもつ植物でも、夏の低温には弱い。耐凍性を得るには冬支度が必要となるからだ。冬支度とは何だろうか?

引用元:BUNA 保谷 彰彦 冬に植物は凍らないの? 植物が寒さを生き延びるしくみ

気になって調べてみると、その秘密を解説してある文章を見つけたのでご紹介します。

植物の耐凍性について

クレソンの葉っぱが霜にやられずに生きている秘密。

つまり、植物が氷点下の気温の中で生きていくためには、

次の「低温馴化」「細胞の中を凍らせないこと」「細胞外凍結」の3つの能力が重要なキーワードのようです。

まずは「低温馴化」について。

馴化の馴はならすという意味です。

ウマを馴らすというフレーズに使う漢字ですね。

まずは低温に慣れる必要があります。

植物の戦略① まずは冬支度 〜低温馴化

 植物たちの冬支度は、秋から冬にかけて穏やかな低温にさらされることから始まる。具体的には、0℃以上の凍結しないほどの低温(2〜4℃)や日長の変化などを感じとると、細胞内に糖類やアミノ酸、タンパク質などが蓄えられる。
 
 それだけでなく、細胞膜の成分が変化することも知られている。細胞膜はリン脂質や膜タンパク質といった成分でできているが、それらの種類や組成が、より凍結の悪影響を受けにくいものへと変わる。これらの冬支度のことを低温馴化(ていおんじゅんか)といい、低温馴化によって耐凍性を得た冬季の植物細胞は、夏季の細胞と比べて状態が異なっている。このようにして、冬の前に氷点下への準備が整うのだ。

引用元:BUNA 保谷 彰彦 冬に植物は凍らないの? 植物が寒さを生き延びるしくみ

11月下旬から12月上旬に最低気温が5℃以下の日が何日もありました。

クレソンも冬支度をしていたんですね(゚д゚)!

次の植物のチカラは細胞の中を凍らせないこと。

以前のポスト(冬野菜のチカラ)でも紹介したのですが、

冬野菜が美味しくなること=内部を凍らせないために糖を蓄積する

という能力があります。

つまり、凍り付く寒さを越えたクレソンも美味しくなっているのです!

植物の戦略② 内部は凍らせない

 気温が氷点下になると、植物の体内はしだいに凍結していく。冬の寒さの中で生きている植物は、体内に40%以上の水分を含むといわれる。そのため冬支度なしに氷点下にさらされると、細胞内が凍ってしまい、細胞は死んでしまう。
 
 ところが、先ほど述べたように低温馴化を経た冬の細胞には糖類やアミノ酸などが蓄えられているため、細胞の内部が凍りにくくなっている。というのも、糖などがたくさん溶けているほど、水は凍りにくくなる性質があるのだ。そのいい例がホウレンソウで、冬に葉を広げるホウレンソウは甘くて美味しくなる。これは細胞の中に糖類などを蓄えているからで、ホウレンソウが低温を耐え抜くのに役立っていると考えられる。
 
 ところで、細胞が凍ると何が起こるのだろうか?
細胞の中には生命を維持するのに必要な、細胞膜や核、葉緑体、ミトコンドリア、液胞などのさまざまな構造物がある。細胞内に氷の結晶ができ凍ってしまうと、それらの構造物が壊されて、細胞は致命的なダメージを負う。特に危険なのは細胞膜が傷つくことで、細胞の内容物がもれ出てしまう。こうなると、細胞は回復できなくなり、その細胞は死んでしまう。

引用元:BUNA 保谷 彰彦 冬に植物は凍らないの? 植物が寒さを生き延びるしくみ

さらに凍りにくくなる対策として、「細胞外凍結」という方法も植物はとっています。

多少凍っても、大事な細胞の中は凍らせない!という強い意志をかんじますね。

植物の戦略③ 凍らせるのは外側 〜細胞外凍結

 では、細胞内が凍らないようにするために、他にどのようなしくみがあるのだろうか?
 
 それが細胞外凍結という現象だ。氷点下の温度がさらに下がると、体内の水分が凍り始める。そのとき、最初に氷の結晶ができるのが、細胞間のすき間や、あるいは細胞壁である。驚いたことに、植物細胞の外側に氷の結晶ができるのだ。(植物細胞には細胞膜の外側に細胞壁がある。これは動物細胞との大きな違いだ。このため、植物では隣り合う細胞どうしは細胞壁で接しており、その細胞壁と細胞壁の間にすき間があり水分などが含まれている)
 
 この現象は、低温馴化により細胞の中に糖類やアミノ酸など様々な物質が溶けていることとも関係している。というのも、水分中の糖類などの濃度は細胞内では高くなり、細胞外では低くなっている。すると、物質の濃度の低い細胞外の水分のほうが先に凍りやすくなるというわけだ。
 
 細胞外に氷ができると、周囲の水が引きよせられて、氷の結晶は次第に大きくなっていく。氷の周りの水は、氷に引きよせられていく性質があるのだ。やがて細胞内の水も、細胞外にできた氷の結晶へと移動していく。そして、細胞内は脱水状態となるので、ますます凍りにくくなる。こうして、細胞外凍結が起こる。

まとめ

以上、霜に負け合いクレソンがどんなチカラで氷点下の世界を生き抜いているのか

調べてみました。

寒さに負けず美味しくなったクレソン、よろしくお願いします。

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