植物の開花のメカニズムは「葉」と「夜の長さ」がキーポイント

花を制すために知らなければならないこと

花盛りなクレソンですが、

今日は植物の花について調べてみようと思います。

花を制すには花のできるメカニズムを知らねばと思うわけです。

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開花最盛期のクレソンは葉っぱの節々から花が咲いてきます。

では花は何を合図にして咲いてくるんでしょうか?

クレソンは長日植物ですが、

開花の最盛期は日長が一番長い6月ではないのも疑問です。

植物の開花のメカニズムは、

●植物は開花する前に、まず大人にならなければならない。

まず花をつけるために必要な条件は、”十分に成長したカラダ”が必要なんですって。

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詳しいことを調べたので、引用します。

植物は開花する前に、まず大人にならなければならない。多くの植物には”幼若期”があるので、この期間ではいくら好適環境になっても、植物は開花することはない。このことは、開花は繁殖のためにするので、合理的である。つまり、繁殖のためには、植物体や花が十分な状態にならなければならない。たとえば、昆虫を引き付けて受粉されるように、花を大きく広げなければならない。受粉後は、受精し、引き続き種子が形成され果実が発達する一連の過程が始まる必要があり、これには多くのエネルギーが必要である。だから植物体が十分に成長するまで開花を延期するのは、生物として賢明な選択といえよう。

引用元:農文協 「環境制御のための植物生理」

花を咲かせるのも、種をつけるのも大仕事なので十分な成長したカラダが必要ということですね。

成長した植物はどのように花をつけていくのでしょうか?

●成熟した葉が必要

次に、花をつけるためには”葉っぱ”が重要な役割を持っています。

光周性を示す植物は、環境条件が整うと、茎頂から花芽へと形態的にも遺伝子の発現においても顕著な変化をしめす。しかし、茎頂を、花芽分化に適当な条件下に直接さらしても、花芽へ分化しない。また、植物体から若い葉だけを残し、成熟した葉を除いても、花芽へ分化しない。このことから、日の長さを感じることができるのは、成熟した葉であることがわかる。

長日植物の中には、長日条件に加えて一定期間低温にさらされる必要のある植物がある。この場合は、胚や茎頂のような若い細胞が低温を感じる。低温にさらされた胚は、栄誉成長を経たあとに花芽を分化するので、その間低温に一定期間さらされたという情報を維持していることになる。

引用元:実教出版 生命科学のための基礎シリーズ 生物

葉っぱで日の長さを感じる。

もう少し詳しく見ると次のようになります。

■葉が感じるのは連続した夜の長さである

 短日植物は日が短くなると花が咲き、長日植物は日が長くなると花が咲く。しかし、夜の長さは同じでも途中で光を当てると短日植物は花をつけず、長日植物には花がつく。また、明期を長日植物が花をつける長さにしておいても、夜の長さを人工的に長くすると、短日植物に花がつく。このような実験から、花芽の形成の信号(環境条件の)として葉が感じているのは、昼の長さではなく、連続した夜の長さだということがわかってきた。すなわち、一定時間以上の連続した夜で、花芽の形成を誘導するのが短日植物で、抑制するのが長日植物である。

引用元:実教出版 生命科学のための基礎シリーズ 生物

では、葉っぱで感じた夜の長さをどのように伝えているのでしょうか?

■葉で感じた日長の信号を茎頂へ伝達する物質がある。

葉で夜の長さを感じるが、実際に花芽が文化するのは茎頂である。このことから、葉で感受した夜の長さの刺激は、何らかの方法で茎頂にまで伝達されると考えられる。(中略)短日条件下の植物体の葉で作られた物質が篩部組織を通って茎頂に伝えられて花芽を誘導したと考えられる。その物質を花成ホルモンというが、このホルモンの実態は不明である。

引用元:実教出版 生命科学のための基礎シリーズ 生物

葉っぱから茎の先端へ「夜の長さ」が伝わって花が咲きはじめるんですって。

意外なメカニズムだなーと思ったのは私だけでしょうか。

まとめ

花が咲くことについて、植物のメカニズムをまとめてくれた文章をまとめの替わりに引用して今日のブログを終わりにしたいと思います。

植物は植物体が成熟期に達してから開花する。この栄養生長から生殖成長への転換はホルモンによって制御されているようにみえるが、花成の実態は複雑である。これに関して、近年、①花成誘導物質「フロリゲン」の実態がFT遺伝子であること、②フロリゲンの機能を抑制する「アンチフロリゲン」AFT遺伝子が存在することが日本の研究者によって明らかにされた。光周期や光質による花成反応やメカニズムが急速に明らかになりつつある。花成反応には温度やジベレリン、生長量や糖など複数要因が影響しており、各要因の影響の強さは植物種によって異なる。生産性の高い環境制御の構築にあたっては個々の作物の開花特性の理解が不可欠である。

引用元:農文協 「環境制御のための植物生理」
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今年はクレソンの開花が早かったのは、4月下旬の温度が高かったからかなー

と思っていました。

花の咲くメカニズムから言っても、高温傾向は花が咲くのを早めるようです。

花の時期にもクレソンを届けられるように

もっとクレソンについて知らなければと思ったヒロアキでした。